遠征記 ~ 試される大地で試された柏サポ ~ #1

今回、北海道遠征の予定を組む上で悩みに悩んだ。
道南にしようか、道北にしようか。。。どちらにしても12月8日の試合日には札幌に着かなければならないのは必須なのである。

そして冬の北海道は未経験だった私は、どのくらいの寒さで、どのくらいの積雪があり、どのくらいの交通網があるのか分からなかったわけだ。以前にも弊編集部は、ジェットスターが欠航になり、試合に間に合わないという事態に遭遇している。同じ轍は踏みたくない。そうしなければ、先人に申し訳が立たないからだ。

ところで、私はウイスキー愛好をしており、サウナーでもある。トップからするとまだまだレベルの低いペーペーだが、北海道のサウナが数多くあり、素晴らしいことも知っている。ウイスキーと同じように自然に近い方がサウナもより素晴らしいものに近くなる。そして、まだ自然に近い北海道サウナを経験していなかったのだ。

それもあって、洞爺湖、支笏湖温泉など様々なサウナを検索したが、交通網に心配があったので、決めきれずにいた。なんと3日前まで決めていなかったのだ。チケットはもう入手している。そこにきて、大雪の予報が出た。試合の日にも大雪になるという予報だった。その時、ふと頭の中ではテレビ東京ドラマ『サ道 2019 年末 SP -北の聖地でととのう-』のシーンが頭をよぎった。大自然の中で積もった雪の上にサウナで熱った身体をダイブして冷やすシーンだった。

「あれをやってみたい!冬じゃなきゃできないことだ。そうだ!旭川にしよう。そして、あのシーンを再現するんだ!」

私の2024年最後のアウェイ遠征が決まった。

1日目旭川 ~あのドラマとあのメニュー~

『Vリーグヴォレアスを有する街、北海道旭川。ここ旭川には数多くの有名サウナが存在している。』
というナレーションを入れようと思っている。

初めて降り立った冬の北海道は、顔に針が刺さるような冷たさを感じた。よくいう文言だ。私も言葉に出して言ってみた。しかし、この時点でかなり腹が減っていた。成田空港からLCCに乗る前に松屋で牛丼をかき込んだが、旭川に着いた時に美味しいものを食べられるようにと、サイズダウンしてしまったのだ。狙い通りだったが、我慢の限界だった。

すかさず、バスに飛び乗り一路、市街地へ。
ドラマとは順番が変わってしまったが、サウナ飯の聖地にも行かなければいけない。
JR宗谷本線 旭川四条のすぐ下にある『四條食堂』だ。

ドラマ「サ道」のファンなら一度は行ってみたい店だろう。
ここで、主人公「ナカタアツロウ」が注文したのは「カレーライスと烏龍茶」だった。しかし、ここでも私は迷っていた。彼が注文したあとに常連から試食を勧められた「トリ麺」だ。これもとても美味しそうだった。非常に悩んだが、ここで思い出したことがある。私は柏の人間だ。柏はカレーの街だ。カレーを食べずにどうする!!そう思い、ついにこう言った。

「カレーライスとウーロン茶ください」

全く同じセリフを30代のおっさんが恥ずかし気もなくドラマと同じセリフを言ったのだ。
そこには信念があるわけでもなかったが、好きなものを押し通すことに恥ずかしさなどなかった。

女将さんとの会話を楽しみながら、出てきたカレーはドラマのままだった。
というか、女将さんがドラマで見たそのまんまだったことに驚いた。もちろん女優さんというわけではないから、演技などは入らないし、あのドラマは素の部分を撮影することもあるから、そうなのだけれども、映像を通して記憶していた人柄そのまんまだった。いや、それ以上にとてもおしゃべりで、愛嬌があり、とても旦那さんを好いていた人だった。旦那さんはドラマ放映の数年後にお亡くなりになってしまったそうだが、私とのおしゃべりの中で何度も旦那さんの話題が出てきた。女将さんとの会話を楽しみながらでも、カレーの味はしっかり覚えている。甘みがありつつも、スパイスがよく効いている。子供にも同じものを出すのだとか。大人と同じものを出して、味覚も育てていくという考えをお持ちなのだそうだ。

そのあと、実は旭川を散策して旭川オスパーにも行こうと思っていた。しかし、女将さんとの会話が止まらない。人生観や趣味、お金の使い方など、とりとめのない話をしていた。とても楽しくて3時間もお話を聞いてしまった。私も少しはしゃべったと思うが、一瞬のようだった。夕方になり外が暗くなり始めてようやく時間を把握したら、ホテルのチェックイン時間を過ぎていた。

店を出ていく時に、会話をしている時にもらった美柑のお礼に何か上げられるものはないか、とポケットに手を突っ込んだら、編集部のステッカーが出てきた。まぁ、腹の足しにもならないし、貰ってもしょうがないかもしれないが名刺みたいなものだ。と思って手渡した。そうしたら、「ドアに貼って行きなよ!」というのだ。

「他にも貼ってるから」と指を刺した先にはいくつかのテレビ番組のステッカーが貼ってあった。お言葉に甘えて大切なご主人と女将さんのお店のドアに貼らせていただいた。何から何まで優しい方だった。一年経たないうちにもう一度来よう。

1日目ホテル編へ続く